「山口文象」に関する3著書と本ウェブサイトについて

 「山口文象」に関する3著書と
本ウェブサイトについて

建築家・山口文象の作品と人物についての出版書物は次の3件である。いずれもわたし(伊達美徳)の編著もしくは単著である。

建築家山口文象人と作品」
RIA建築綜合研究所/1982

 この本は山口文象が戦後に創設した建築設計集団「RIA建築綜合研究所」(現在はアール・アイ・エー)が制作して発行した。
 RIAではこの本の制作のために、社長の近藤正一のもとに担当者(伊達美徳、狩野哲夫)を定め、編成して1973年頃から山口文象から聞きつつ、資料を収集し、現地で建築等の作品を調査して、ゆっくりと制作にとりかかっていた。
 しかし、1978年に山口文象が急逝したので一時中断していたが、改めて取り掛かって1982年にようやく上梓した。
 担当したわたしは出自が建築史であったので、山口文象を軸にして日本近代建築史をつづるつもりで編集した。山口文象という特異な建築家は、建築作家であり建築運動家であったので、この両面が浮き彫りになった。特に創宇社建築会という建築運動について、詳細が分かったことが近代建築史のひとつの収穫だった。
 この本は出版社の廃業により絶版となっている。

・書籍名:建築家山口文象 人と作品
・著者名:RIA建築綜合研究所 近藤正一(担当:伊達美徳・狩野哲夫)
・発行所:相模書房  ・判型:320×320 ・ページ:264
・発行年月:1982.04  ・定価:¥ 15,000

・目次
・人間 山口文象(私の兄事した建築家) 海老原一郎
・芸術家村のこと 猪熊弦一郎
・張り切っていた山口文象君 前川國男
・文ちゃんと創宇社 竹村新太郎
・疾走の時代 1902-1922 浅草文化の中で 長谷川堯
・離陸の時代 1923-1930 岡村蚊象と創宇社の時代 河東義之
・飛翔の時代 1931-1952 建築家としての山口文象 佐々木宏
・止揚の時代 1953-1978 山口文象とRIA(三輪正弘・植田一豊・近藤正一)
・山口文象とRIA 三輪正弘・植田一豊・近藤正一
・作品図版:関口邸茶席・会席/林芙美子邸/山口文象自邸/酒井憶尋邸/黒部川第二発電所・ダム/久が原教会/小林邸/日本歯科医専・付属病院/新制作座文化センター
・山口文象年表
・復刻3論文
・あとがき

「新編山口文象人と作品」
 伊達美徳/2003

 この本は、RIAが創設から50周年を記念して(株)アール・アイ・エーが出版した。上記前著の簡易版であり、図版は前著のままだが、前著における詳細年譜を書き換えて、一部の前著記述の誤り修正をした。なお、このときは「RIA50」と銘打って、

「新編山口文象人と作品」」、「RIA works」(主要作品図版)、「RIA LIST

 of WORKS](全仕事名一覧)の3冊がセットになった箱入りであり、関係先に配布された。「新編山口文象人と作品」だけは独立して南洋堂で販売された。現在は絶版である。

・書籍名:新編 山口文象 人と作品
・著者名:伊達美徳
・発行所:アール・アイ・エー
・判型:230×230 ページ:106
・発行年月:2003.10

・目次
・火炎の流れ - 内藤廣
・序走の時代(1902-1922)
・離陸の時代(1923-1930)
・飛翔の時代(1931-1948)
・止揚の時代(1949-1978)
・作品図版:日本歯科医専・附属病院/黒部川第二発電所・ダム/旧関口邸茶席・会席/山口文象自邸/林芙美子邸/小林邸/久が原教会
・あとがき - 近藤正一

「建築家山口文象の世界」
  伊達美徳/2018

 1973年頃から「建築家山口文象人と作品」の制作にかかわったわたし(伊達美徳)は、1982年にその出版が終わっても継続して山口文象についての資料収集を続けてきた。リタイアしてからも続けている。

 そして、そのトピック的なことをエッセイとか論考とかにして綴り、わたしのウェブサイト「まちもり通信」に掲載してきた。その掲載記事の中で主なものを集めて編集したものを、「山口文象の世界」と銘打って本の形にした。この本は商業出版ではなく、わたし自身が装丁印刷製本して、DTPでありODPである。わたしが差し上げたい人に無料進呈している。

・書籍名:建築家山口文象の世界
・著者名:伊達美徳
・発行者名:伊達美徳
・判型:B5 ページ:135
・発行年月:(初刷)2011.2.7 (ODPにつき随時発行)

・目次
・まえがき
・建築と土木の融合/黒部川第2発電所・小屋平ダム、早川ダム・山崎発電所
・和風建築の現在/宝庵、自邸
・モダニズム建築の現在/梅月堂、新制作座文化センター、青雲荘
・同時代建築家の証言/竹村新太郎、小町和義、ブルーノ・タウト
・建築家山口文象の軌跡/RIA、評伝、年表

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ウェブサイト
伊達美徳

 これは書物の出版物ではないが、山口文象についてもっとも詳しい情報が掲載されているはずである。わたしは1973年頃から「建築家山口文象人と作品」の制作にかかわり、それ以後も継続して山口文象についての資料収集を続けてきた。
 その資料のリストや山口文象に関するトピック的なことをエッセイとか論考とかにして綴り、わたしのウェブサイト「まちもり通信」の中に「山口文象」サブサイトを設けて掲載してきた。
 山口文象と表裏一体だった初期のRIAに関しても資料を収集し、トピックを語っているので、
ある時から建築家山口文象+初期RIAとサイト名を変えた。ここではわたしの本名の伊達美徳のほかに、自称隠居名「まちもり散人」も使っている。
 なお、この現在のサイトはインタネット業界の都合で2回の移転を強いられて3代目にあたる。インタネットだと本のような絶版も消滅もないと思っていたが、実はこの世界も怪しいもであると分った。わたしが死んでしまうと事実上はネット情報も消えるのである。それもよし。(2021/06/21記)


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